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アスモ・たんぽぽ新聞第212号 トピック
「側にいてほしい人」
先日、自宅の書棚を整理していると、古いノートが見つかり、泉さんという看護師の講演録を見つけました。感動的な講演でしたのでご紹介させていただきます。
泉さんは、多くの方の終末期に関わってきて、「寂しい」という感情の大切さに気付かされたといいます。それはこのような患者さんとの出会いからです。
1人の患者さんから朝、泉さんにナースコールがあります。「寝返りがしたいんです」とか「お茶を飲ませてください」とか、そういうことを言われるのだろうと思って部屋に行き、「どうなさいました?」と声かけをすると、彼は目をつぶったまま何も言わず、しばらくすると「座ってください」と言うので、何かお叱りを受けるのかなぁと思ったそうです。その患者さんは78歳の男性で、心から搾り出すような声で「寂しいんですよね」と・・・。
泉さんは呆然とします。これまで「寂しい」という言葉に関わったことがなかったので、何をどうしたらいいのか分からなかったようです。そしてやっとの思いで「どなたに側にいてほしいですか?」と聞くと、即座に「家内です」と言われます。その方の奥さんは朝の9時半くらいから夕方の5時半くらいまで毎日病室に来て、夜はいつも帰っていました。でもその日、まだ奥さんは来られていなかったのです。
「次はどなたですか?」と尋ねると、また即座に「子どもです」と言われたそうです。しばらくして奥さんがこられ、泉さんは「奥さんかお子さんにずっと側にいてほしいそうです」と伝えると、奥さんは、笑いながら「お父さん、何で早く言わんかったとね。けんちゃんと相談して今日から考えるわね」と言うと、その晩から息子さんと娘さんが交互に病室に泊まり、朝一番に来た奥さんと入れ替わるようになったのです。
すると彼はとても穏やかな精神状態になり、ご自分の年金のことやお通夜のこと、葬儀のことまで相談して、最期はやすらかに逝かれました。
患者さんにとって一番側にいてほしい人は、男性ならば奥さん、女性ならばご主人です。でも、そうでないご夫婦もいます。「結婚した時から苦労をかけられてきました」という、結婚して43年間、恨みつらみでいっぱいの奥さんもいます。でもご主人はあと2週間の命かもしれない。泉さんは、ご主人に「奥さんに『私の側にいてほしい』と言ってみませんか?」と諭すと、彼は奥さんにそう伝えたのです。
すると奥さんはご主人が亡くなるまでの2週間、毎日お弁当を持ってくるようになったのです。その間にご主人の誕生日が来て、「夫婦茶碗」をプレゼントしたそうです。ご主人が亡くなった後、奥さんは「これは私の宝物になりました」と喜んでくれたそうです。
泉さんは、『私たち看護師の役割というのは、「側にいてほしい人」が側にいられるような環境づくりをすることだと思っています。それは医療者ではなく家族なんですね。ですから私たちは家族がいらっしゃるときは処置も回診も後回しにします。中には家族がいないという方もいます。そんな「寂しい」という患者さんには昼間はボランティアの方の協力を得ますし、看護師もその方の部屋になるべく長い時間いてあげるようにします。その努力が必要だと思います。「何を一番大切にしているのですか?」と問われれば、私たちは「患者さんが今、してほしいことをすることです」と答える以外にはないと思っています』と締めくくったのです。
私たちは日々の業務の中で多くのご家族と接する場面があります。もちろんお仕事として技術的なことも大切なことだと思いますが、ご利用者様が「辛い思いや、寂しい思い」をすることがないような接遇をしていきたいと思います。
SDGs(持続可能な開発目標)活動報告
一昨年よりスタートしましたSDGs(持続可能な開発目標)活動は、弊社の一ヶ月間のサービス量に応じて寄付活動や社会活動の原資に充てる予定になっております。2023年4月の活動実績=15,780Pとなり、2020年より開始いたしました累計数は、692,100Pとなりましたのでご報告させていただきます。また、具体的な活動内容の詳細につきましては、引続きアスモ新聞にてお伝えさせていただきます。
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